平成28年度も、平成27年度補正予算により「新ものづくり」補助金予算1,020億円が公募されることが決定しました。ものづくり補助金は過去3年間で38000社以上が利用した人気補助金制度です。 今期改変された主な内容は、1社あたりの上限がこれまでの1000万円から3000万円に引き上げられた「高度生産性向上支援」が新設されました。とくにIoT技術による生産性向上、TPP関連、海外向け商品開発、海外提携先と連携できる場合などは優先的に採択されます。 また、設備投資の伴わないサービスや試作品開発は700万円から500万円に引き下げた小規模型となります。公募は2月初旬になる予定です。

平成28年1月現在、公表されている内容は以下のとおりです(補助率2/3)。

区分 概要 補助上限額
革新的サービス・ものづくり開発支援 一般型 中小企業が行うサービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善に必要な設備投資等を支援 1,000万円
小規模型 小規模な額で行う革新的なサービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を支援 500万円
サービス・ものづくり高度生産性向上支援 IoT等の技術を用いて生産性向上を図る設備投資等を支援 3,000万円

革新的サービス・ものづくり開発支援

「中小サービス事業者の生産性向上のためのガイドライン」で示された方法で行う革新的なサービスの創出・サービス提供プロセスの改善であり、3~5年で、「付加価値額」年率3%及び「経常利益」年率1%の向上を達成できる計画であること。
または「中小ものづくり高度化法」に基づく特定ものづくり基盤技術を活用した革新的な試作品開発・生産プロセスの改善を行い、生産性を向上させる計画であること。

サービス・ものづくり高度生産性向上支援

革新的なサービス開発・試作品開発・プロセス改善であって、IoT(モノとインターネットによる新技術)等を用いた設備投資を行い生産性を向上させ、「投資利益率」5%を達成する計画であること。

参考:平成27年度の募集要項(平成28年度分ではありません)

Ⅰ.対象事業者
業種 数値基準(どちらかの基準を満たせば対象となる)
資本金基準 従業員数基準
製造業・建設業・運輸業 300百万円以下 300人以下
ソフトウェア業または情報サービス業 300百万円以下 300人以下
卸売業 100百万円以下 100人以下
サービス業 50百万円以下 100人以下
小売業 50百万円以下 50人以下
ゴム製品製造業
(自動車または航空機用タイヤおよびチューブ製造業ならびに工業用ベルト製造業を除く)
300百万円以下 900人以下
旅館業 50百万円以下 200人以下
その他 300百万円以下 300人以下

中小企業者の要件である従業員数は常勤が対象となり、役員や臨時のアルバイト等は含まれません。ただし、契約社員やパートタイマー、14日を超えて使用されている試用期間中の従業員など、労働基準法第21条において解雇予告が必要とされている者は常時使用する従業員と考えられるため従業員数に含まれます。

Ⅱ. 新ものづくり補助金の対象要件と対象事業

新ものづくり補助対象要件は以下のいずれかを満たす者になります。

ものづくり技術
「中小ものづくり高度化法」12分野の基盤技術を活用した画期的な試作品の開発や生産プロセスの革新

技術分野 内容
①デザインに係る技術 製品の審美性、ユーザーが求める価値、使用によって得られる新たな経験の実現・経験の質的な向上等を追求することにより、製品自体の優位性のみならず、製品と人、製品と社会との相互作用的な関わりも含めた価値創造に繋がる総合的な設計技術。
②情報処理に係る技術 IT(情報技術)を活用することで製品や製造プロセスの機能や制御を実現する情報処理技術。
製造プロセスにおける生産性、品質やコスト等の競争力向上にも資する。
③精密加工に係る技術 金属等の材料に対して機械加工・塑性加工等を施すことで精密な形状を生成する精密加工技術。
製品や製品を構成する部品を直接加工するほか、部品を所定の形状に加工するための精密な工具や金型を製造する際にも利用される。
④製造環境に係る技術 製造・流通等の現場の環境(温度、湿度、圧力、清浄度等)を制御・調整するものづくり環境調整技術。
製造現場における、歩留まりの改善、故障率の低減等に寄与する清浄化やコンタミネーションの監視・制御、品質向上・安全性確保のための温度、湿度、圧力、清浄度等の維持管理に利用される。
⑤接合・実装に係る技術 相変化、化学変化、塑性・弾性変形等により多様な素材・部品を接合・実装することで、力学特性、電気特性、光学特性、熱伝達特性、耐環境特性等の機能を顕現する接合・実装技術。
単に固定するだけでなく可動機能を含んだ接合技術も含まれ、電子部品・デバイスから超厚板大型構造物の広範囲な製造に幅広く利用される。
⑥立体造形に係る技術 自由度が高い任意の立体形状を造形する立体造形技術。
(ただし、③精密加工に係る技術に含まれるものを除く。)
金属、セラミックス、プラスチック、ガラス、ゴム等様々な材料を所用の強度や性質、経済性等を担保しつつ、例えば高いエネルギー効率を生み出すための複雑な翼形状や歯車形状等を高精度に作り出したり、高度化する医療機器等の用途に応じた任意の形状を高精度に作り出したりする技術全般。
(材料により、射出成形、押出成形、圧縮成形、プレス成形等の造形方法がある。)
⑦表面処理に係る技術 バルク(単独組織の部素材)では持ち得ない高度な機能性を基材に付加するための機能性界面・被覆膜形成技術。
⑧機械制御に係る技術 力学的な動きを司る機構により動的特性を制御する動的機構技術。動力利用の効率化や位置決め精度・速度の向上、振動・騒音の抑制等を達成するために利用される。
⑨複合・新機能材料に係る技術 部素材の生成等に際し、新たな原材料の開発、特性の異なる複数の原材料の組合せ等により、強度、剛性、耐摩耗性、耐食性、軽量等の物理特性や耐熱性、電気特性、化学特性等の特性を向上する又は従来にない新しい機能を顕現する複合・新機能材料技術。
⑩材料製造プロセスに係る技術 目的物である化学素材、金属・セラミックス素材、繊維素材及びそれらの複合素材の収量効率化や品質劣化回避による素材の品質向上、環境負荷・エネルギー消費の低減等のために、反応条件の制御、不要物の分解・除去、断熱等による熱効率の向上等を達成する材料製造プロセス技術。
⑪バイオに係る技術 微生物を含む多様な生物の持つ機能を解明・高度化することにより、医薬品、エネルギー、食品、化学品等の製造、それらの評価・解析等の効率化及び高性能化を実現するバイオ技術。
⑫測定計測に係る技術 適切な測定計測や信頼性の高い検査・評価等を実現するため、ニーズに応じたデータを取得する測定計測技術。
革新的サービスとは?

革新的なサービスの提供等を行い、3~5年計画で「付加価値額」(営業利益+人件費+減価償却費)年率3%及び「経常利益」年率1%の向上を達成できる計画であること。
いずれも、どのように他社と差別化し競争力を強化するかを明記した事業計画を作り、その実効性について認定支援機関の確認を受けることが必要となります。また、革新的なサービスの創出・サービス提供プロセスの改善の場合、経営革新計画の承認を得ておくと有利です。

Ⅲ. 補助対象経費
区分 対象となるもの 対象とならないもの
原材料費 試作品の開発に必要な原材料及び副資材の購入に要する経費
(設備投資のみの場合は対象となりません)
補助事業終了時点での未使用残存品
機械装置費 機械装置等(専ら補助事業のために使用される機械・装置、工具・器具(測定工具・検査工具、電子計算機、デジタル複合機等)及び専用ソフトウエア)の購入、製作、借用、改良、据付け又は修繕に要する経費  
直接人件費 本事業の実施期間を通じて責任をもって試作品等の開発に直接従事する者(原則として補助事業者と雇用関係が結ばれている者に限られます)の試作品等の開発業務に係る時間に対応する人件費
(設備投資のみの場合は対象となりません)
雇用関係が結ばれていないもの
技術導入費 外部からの技術指導や知的財産権等の導入に要する経費  
外注加工費 試作品の開発に必要な原材料等の再加工・設計及び分析・検査等を外注・依頼等(外注加工先の機器を使って自ら行う場合を含む。)を行う場合に外注加工先への支払に要する経費
(設備投資のみの場合は対象となりません)
外注加工先が機械装置等を購入する費用
委託費 外部の機関に試作品等の開発の一部を委託する場合の経費
(設備投資のみの場合は対象となりません)
外部の機関とは、中小企業・小規模事業者が技術課題を解決する上で、専門技術的な見地から有効な解決方策を提案・支援することができる以下に掲げる者とします。

●公的研究機関(独立行政法人等)
●国立大学法人、公立大学法人、私立大学法人、並びに国公私立高等専門学校
●地方公共団体が設置する試験研究機関(地方独立行政法人を含む)
●財団法人、社団法人及び地方公共団体が出資を行っている法人等
一定の外部機関以外への委託費
知的財産権等関連経費 試作品等の開発、役務の開発・提供方法等と密接に関連し、試作品等の開発成果の事業化にあたり必要となる特許権等の知的財産権等の取得に要する弁理士の手続代行費用や外国特許出願のための翻訳料など知的財産権等取得に関連する経費
(設備投資のみの場合は対象となりません)
・今回の事業の成果に係る発明等ではないもの
・事業期間内に出願手続きを完了していない場合
運搬費 運搬料、宅配・郵送料等の支払に要する経費  
専門家謝金 本事業遂行のために必要な謝金として、依頼した専門家に支払われる経費  
雑役務費 試作品等の開発に係る業務を補助するために臨時的に雇い入れた者(パート、アルバイト)に対する賃金、交通費
(設備投資のみの場合は対象となりません)
支払等の経理事務や補助事業に係る提出書類の作成事務といった一般的な事務
クラウド利用費 クラウドコンピューティングの利用に関する経費  

外注加工費と委託費の合計額は、補助対象経費総額の1/2が上限となります。
補助金の対象となる費用は、補助金交付決定日以降に発生する経費になります。
補助金交付決定前に契約、発注、購入した経費は対象事業に関連する物であっても対象とならないため注意が必要です。

Ⅳ. 提出書類

① 中小企業・小規模事業者ものづくり・商業・サービス革新事業事業計画書
② 認定支援機関確認書
③ 決算書(直近2年間の貸借対照表、損益計算書、個別注記表)
④ 定款又は登記事項証明書
⑤ 会社案内等事業概要の確認ができるパンフレット等
「革新的サービス」の場合、「革新的な役務提供等を行い、3~5年計画で「付加価値額」年率3%及び「経常利益」年率1%の向上を達成する計画」の根拠を具体的に記載することが重要となります。別添資料とすることも可能ですので、必ず別添資料を作成し、計画数字が合理的・理論的に算定されたことが第三者にもわかるように詳しく説明されることをお勧め致します。

Ⅴ.注意しておきたい事項

公募発表されてから、動くのでは遅すぎます。今のうちに、経営革新計画の承認を受けておきましょう。経営革新計画で記載した内容は、「中小企業・小規模事業者ものづくり・商業・サービス革新事業事業計画書」に活用できます。ぜひ、経営革新計画の承認を受けられることをお勧めします。

Ⅵ.ジャパン・ラボならではのサポート

①高い採択率
平成27年度は、2回公募がありました。全国的には40%台の採択率です。
ジャパン・ラボが支援したお客様は、80%台の高い採択率です。
②個別相談受付中
まずは、個別相談にいらしてください。初回は、無料です。
③補助金入門書を販売中
 『すぐわかる補助金・助成金活用ガイド』誠文堂新光社刊を全国有名書店やオンライン書店で好評発売中。
弊社の実績をご理解いただけます。ぜひ参照ください。
④昨年度の実績例

支援概要 活用した支援制度 助成額
事業系 医療機器製造業 新製品開発 経営革新計画
ものづくり補助金
860万円
情報サービス業 新製品開発 経営革新計画
ものづくり補助金
700万円
通信業 新製品開発 経営革新計画
ものづくり補助金
680万円
雇用系 システム開発 キャリア形成促進助成金 500万円
小売業 キャリアアップ助成金
(正規雇用等転換コース)
450万円